めいっぱい息をすること

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若手俳優の接触系イベントについて考える

先日、とある舞台の円盤発売イベントに参加してきた。
かつてわたしが若手俳優追っかけを全盛期でしていた(といってもプレ貢ぐとか公演全通とかはできなかったなんちゃって追っかけだけど)ころはまだ2.5次元舞台の土壌ができあがりつつある…ぐらいの時期だったので、今ほど運営の体制が整っていないというか、公演後のお見送りや握手も無かったし、キャストを登壇させるイベントで何をするか…みたいなテンプレもふわっとしかできあがっていなかった気がする。
そもそも舞台を見るための有料会員制度もまだなかった。最初にテニスで金とるって聞いたときはたまげましたわ。
それが今じゃキャストお見送り、ハイタッチ、握手、アフタートークトークは前からあったかな)……。キャストをどんどん客と接触させて動員数を増やす、みたいなマーケティング手法が当たり前のように行われているらしい。

なんかわたしの古い感覚(具体的にはテニス1stシーズン関東大会あたり)でいうと
キャストは舞台のうえ、客は客席。だからこそたまの客席降り演出があるとキャーって嬉しくなるし、
アンコールのお祭りソングで一気にお祭りテンションになれる。そういうもの。って思ってたから、「キャスト降りてくるよ!みんなが触れるようにしといたからね!!」っていうウエルカム体制みたいなものに正直ちょっと戸惑ってる部分はある。だってキャストに触りたかったり声かけたかったりしたらキャスト個人の単独イベに行けばいいじゃん!!きっとそのほうが経済もよくまわるし俳優にとっても固定ファンつくるチャンスじゃん!!と。
でも、俳優側からしたらもしかして作品のイベントで客と接触する機会があったほうがファンを引っ張ってくるチャンスなのかな?と、今回参加してみて思った。そしてもはやテニス2ndでそういうの定着してる感もあるし、客もイベント参加にそれを期待していたりするのかも。

あ、そう、ハイタッチお見送りがあったのです。今回のイベント。
会場のキャパがそこそこだったから、会話するとかそんな暇もなくほんと通り過ぎざまにハイタッチするだけだったけど。それでもやっぱり「好きな舞台のキャスト(あるいは推しの俳優)」に接近できて接触できる、ていうのは舞い上がってしまう、客としては。絶対気にも留められないだろう化粧と髪型を気にしてとりあえず鏡は確認した。笑
で、今回のキャスト陣、テニス出身でこういうアイドル扱いみたいなのめっちゃ慣れてる組と、あんまり知名度なかったけどこの舞台で人気が出つつある組と、接触系イベはかなり回数こなしてるけどあんまり大人数にキャーキャー言われる感じでもない、みたいな組にタイプが分かれてて、対応にわかりやすく差が出てたのが面白かった。

テニス組は回数こなしてるのもあるし、客の喜ぶ対応がわかっているイメージ。ちゃんと目みて、ずっと笑顔でいてくれる。そしてあまり対応に差をつけない。
この舞台で人気出た組は、普段からこの作品めっちゃ好きなんだろうなあという印象がすごくあって、まだこの舞台引きずってるのかな?笑 みたいなテンション。そして客が自分のキャラのグッズとかつけてるとわかりやすく喜ぶし、本人が1番ハイタッチに舞い上がってる感がすごかった。その分好感は持てました。
あとの人たちは、すげえ無難。笑 ちゃんとありがとうってひとりひとりに言ってくれる感じはあったけど、特に客がどうとかではなく、単純に「ハイタッチお見送り」というひと仕事をきっちりやってくれてる感。けして塩というわけではないのですが。アイドル扱い、というより役者として普通に生きてきた人たちなんだろうなあ、という感想を抱く。

結局なにが言いたいのかっていうと、こういうイベントってやっぱり舞い上がって判断力を失った客をどれだけ自分のファンとして引き込めるか、ていうチャンスの一方、なんかちょっと客のテンションとずれてる対応をすると途端に一歩引かれてしまう…というハイリスクハイリターンな催しなのかな
、と。まあいまや接触系イベントがあって当たり前みたいな風潮になっている以上、それを最大限活かしきるのがプロフェッショナルなんだろうけど。
その意味では、今回のイベントに関しては、この舞台で人気出た組が一歩抜けてた感じがします。なんせ彼らはこの作品が大好きだからね!ハイタッチもあんまり、というか初めてやるぐらいの催しだから、一人ひとりに笑顔だし、客の身長にあわせてかがんであげて目合わせて全員にありがとうって言うし、すごい。それが計算か天然なのかは知らないけど、多分彼らは今回のイベントも含め、この作品でかなり固定ファンをかっさらっていたと思うな!!

2.5次元舞台のキャストとして客に支持されるには、「原作への愛情に溢れていること」「自分のキャラクターを誰よりも愛すること」「仕事と客に対して誠実な毎日を送ること」なのかなあ、とわたし個人は思っている。わたしは作品が面白くて、イベントできれいなお顔のキャストが楽しそうにバカな面白トークをしてくれれば割とそれで満足できるタイプだけれど。

特別演技が超うまいとか、歌がすごくうまいとかでない限り、そういう意味でかしこく立ち回れる人がそういえば長く生き残っている感じがするなあ、と感じたのでした。
これだけ若手の舞台が乱発して、マンガも次から次へと舞台化しているのでいまの若手俳優業界は本当に大変な競争なんだろうなあ、と思う。たまに彼らの10年後20年後を想像して勝手に切なくなってみたりするけれど、みんなができるだけ長く俳優を続けられますように。
そんなことを思いながら、行きたい舞台に心置きなく通えるように、日々仕事をがんばろうと気持ちを改めたりしている。
仕事がんばろう。そう思える理由にちょっとでもなっていることが、逆に彼らの頑張る理由になっていたらいいな。